JAPANESE RITUALS
冬至に柚子を浮かべる、日本人の小さな知恵。

冬の夜。
湯船に浮かべられた、いくつかの黄色い柚子。
湯気とともに、爽やかな香りが立ちのぼる。
日本には、冬至の日に柚子湯に入る風習があります。
けれども、なぜ柚子なのでしょうか。
みかんでも、すだちでもなく、柚子が選ばれてきた理由をたどると、日本人の暮らしに根ざした考え方が見えてきます。
一年で、もっとも夜が長い日。
冬至は、一年の中で昼がもっとも短くなる日です。
古くから冬至は、太陽の力が弱まる時期であると同時に、ここから再び昼の時間が長くなっていく節目でもありました。
冬が深まる中に、次の季節の始まりを見つける。
そこには、自然の移り変わりとともに暮らしてきた人々の感覚があります。
この冬至に柚子湯に入る習慣は、江戸時代には行われていたと考えられています。江戸後期の『東都歳時記』(1838年)には、冬至の日に銭湯で柚子湯を焚くことが記されています。
「冬至」と「湯治」。
柚子湯の由来については、いくつかの説があります。
よく知られているのが、「冬至」と「湯治(とうじ)」をかけたというものです。
湯治とは、温泉などに滞在して体を休めること。
さらに、「柚子」と「融通」をかけ、縁起を担いだという話も伝わっています。
いかにも言葉遊びを好んだ江戸の人々らしい説ですが、これが習慣の始まりだったと断定できるわけではありません。
柚子の強い香りが邪気を払うと考えられていたことや、寒い季節に体を温める入浴の習慣など、さまざまな要素が重なって広まったと考えられています。
由来がひとつに定まらないところにも、長く受け継がれてきた風習らしさを感じます。
香りで、季節を迎える。
柚子湯の面白さは、季節を香りで感じられることにあります。
春には桜を眺める。
秋には月を見上げる。
冬には柚子を湯船に浮かべる。
日本の暮らしには、目で見ることだけではなく、香りや音、肌に触れる感覚を通じて季節を楽しむ習慣があります。
柚子湯も、そのひとつなのでしょう。
果皮から広がる爽やかな香りは、寒い季節の記憶と結びついています。
冬の情景を、一年を通して。
JAPONISMの「YUZU」は、そんな冬の日本の風景から生まれた香りです。
寒い日に入ったお風呂。
湯気で曇った窓。
肩の力がふっと抜ける、静かな時間。
大切にしたいのは、柚子という果実そのものだけでなく、その香りとともにある暮らしの風景です。
日本の文化は、特別な場所にだけ残っているわけではありません。
誰かがお湯を沸かし、季節の果実を浮かべる。
そんな何気ない日常の中にも、受け継がれているものがあります。
JAPONISMは、そうした日本の美しさを、これからの暮らしにも届けていきたいと考えています。



