ORIGIN & CRAFT
伊勢神宮が、檜を使い続ける理由。

日本の森を歩いていると、ふと檜の香りに包まれることがあります。
雨上がりの湿った空気。
木々の間から差し込む光。
足元に積もった落ち葉。
檜は、日本の森や建築と深く結びついてきた木のひとつです。
その関係を象徴する場所が、三重県の伊勢神宮です。
二十年ごとに、社殿を建て替える。
伊勢神宮には、「式年遷宮(しきねんせんぐう)」と呼ばれる伝統があります。
二十年に一度、社殿を新しく建て替え、神様に新しい宮へお遷りいただく行事です。
社殿の造営に使われる重要な木材のひとつが、檜です。
なかでも、長野県や岐阜県にまたがる木曽地域の檜は、神宮の造営と深い関わりを持ってきました。
木曽の山々で育った木が、伊勢へ運ばれ、新しい社殿を形づくる。
そこには、森と人と神宮をつなぐ長い歴史があります。

木を伐ることも、ひとつの儀式だった。
式年遷宮に使う木材を伐り出す際には、「御杣始祭(みそまはじめさい)」と呼ばれる祭儀が行われます。
2025年6月、第63回式年遷宮に向けて長野県上松町と岐阜県中津川市の国有林で行われた祭儀でも、木曽ヒノキが用いられました。
このときの伐採には、「三ツ緒伐り(みつおぎり)」と呼ばれる伝統的な技法が使われています。
三方向から斧を入れて、木を伐り倒す方法です。
木材をただの建築資材として扱うのではなく、感謝や敬意とともに山からいただく。
そうした考え方が、儀式の中に受け継がれています。
神宮の建物には、完成した姿の美しさだけでなく、木を選び、伐り、運び、組み上げていく人々の営みが重なっているのです。
新しくすることで、受け継がれるもの。
式年遷宮の興味深いところは、古い建物をそのまま残すのではなく、建て替えを繰り返してきたことです。
新しい社殿をつくるためには、木材を扱う技術や、建築に関わる知識が必要になります。
その仕事を次の世代へと手渡していく。
建物そのものは新しくなっても、技術や考え方は受け継がれていきます。
変わらないために、つくり直す。
そこには、日本のものづくりを考えるうえで、大切な視点があるように思います。
森の記憶を、手のひらに。
JAPONISMの「HINOKI」は、日本の森や木造建築から着想を得た香りです。
湯屋に漂う木の香り。
森の中にいるときの静けさ。
自然の素材に触れたときの、穏やかな感覚。
私たちが届けたいのは、檜という素材の名前だけではありません。
その香りから思い浮かぶ、日本の風景です。
遠くの森を訪れることができない日にも。
毎日の洗面台やバスルームで、ふと木の香りを感じることができたら。
日本の自然や文化が、少しだけ身近になるかもしれません。
JAPONISMは、そんな日常の中にある小さな情景を大切にしています。



